嫌い嫌われ好きになり

俺にゃ どうしても好きになれない
嫌いな人がいる。
しかもその人、
俺の、みんなのお客様。

商売上そういう気持ちを
抱えていると すごくやりずらい。


ところがどっこい、
今日、何と自分がある別の人から
嫌われている事に気付いてしまった。
しかもそれもお客様。

なんたること!

しかも嫌われている理由は
俺への誤解。

誤解を解きさえすれば
嫌われるなんてこと無かったろう。

しかし誤解を解いてしまうと
別の人の信用がガタ落ちになる、
ややこしい状況。

俺がベラベラ喋る訳にいかない。

なんたること!


………


時は俺が中学1年生の時。

同じ部活の同学年と
それはもう大変な喧嘩を
仕出かしてしまった。

俺が喧嘩に負けてメソメソしていますと、
俺より2つ上、つまり中学3年の先輩が、
(さらに言うとそれはそれは厳しく恐ろしい先輩が)
俺にこう言うのです。

「喧嘩相手が嫌いになったかい?
もう相手の嫌な所しか見えないだろうね。
しかし君、そんな奴にもたくさんの良い所が
あるのだよ。
君はそれを見つける事ができる。
好きになる事もできる」

先輩のオコトバは
これ以降も続きましたし、
だいぶ要約してありますが、
まあ こんな具合の事を述べておりました。

今思うと
15歳の少女が述べた事だとは
にわかに信じられない、
そんな感じです。


今までドロドロと思っていた事、
今日 気付いてしまった事、
随分 昔に気付かされて
忘れてしまった事が

今ようやっと繋がった気がするのです。


だからといって今の問題の解決に
漕ぎ着けられるのか よくわかりません。

もう一度俺はあの恐ろしい先輩から
指導を受けねばならないのかも
しれません。